いつになっても試行錯誤と学びの毎日

とある教育コーディネーターが学校でやってきた実践と失敗の数々

はじめての先生シリーズ〜清掃〜

教採も結果が出始めているようですね、結果が出た方も、残念だった方も本当におつかれさまです。

いよいよこのシリーズも終わりに近づいてきました。

someunsungone.hatenablog.com

実は上記のリンクが最初のページになります。

 

  1. 授業(教科会)

  2. 評価(試験)

  3. 校務分掌(委員会)

  4. 学年会

  5. 部活動

  6. 保護者対応

  7. 清掃

  8. 運営委員会、職員会議、その他委員会

  9. その他業務(入試、オープンスクールなど)

 

ということで、今回は「7.清掃」です。

清掃

急に地味な「清掃」… 別に教員じゃなくてもできるじゃない、と思います。

そうなのですが、1時間目から6時間目、7時間目までの中に清掃活動が入っています。

教育課程の中には入っていませんが、欧米と日本の違いの一つに「清掃」があります。

東南アジアの教育は、日本型の教育をモデルにしたそうですが、その時に重視したのは、「給食」と「清掃」だそうです。

各教員と生徒たちが学校の至る所に配置されて、清掃をします。

担任の先生はおおよそ「自クラス」を担当することが多いです。

トイレや玄関前、廊下、体育館、移動教室(音楽室、家庭科室、理科室など)などのような全員使用するであろう場所を清掃します。

先生は生徒と共に清掃しますが、雑談をしながら生徒との関係性(ラポール)を築くことが多いです。授業や部活動ではない「先生の姿」をみることができるので、生徒からするといろんな話ができる可能性が高い時間です。

とはいうものの、今はコロナということもありますので、清掃の指導をすることも求められます(同様に給食の時も、「食育」を求められます)。

 

清掃時間

清掃時間は、おおよそ30分程度。

これを4時間目以降の時間がある日はほとんど実施します。

単純計算すると、学校は年間35週間開校しており、週に5日ありますので、年間では、35週間×5日×30分=5,250分

1コマの授業時間が50分とすると、清掃時間は105コマに相当します。

これがいくらかといえば、大体週に1時間しかない授業、例えば総合の時間やロングホームルームなどは年間35コマしかありませんので、清掃時間はその3倍のコマ数になります。つまり、週に3コマ授業があるということです。

ざっくりした計算なので、もう少し時間は短いでしょうが、週3コマの授業分、みなさんは清掃指導をしているということです。

 

報われない仕事

ですが、誰も褒めてくれません。

生徒たちと関係を築く時間と思えばいいのですが、民間のような終業時間手前の数分で終わったり、あるいは日々の業務の時にちょこっと机をきれいにするというようなものではありません。

児童・生徒が掃除をサボっていれば指導をしたり、清掃道具の使い方や場所場所にあった掃除用具を教えなければなりません。いくらその指導方法がうまくて児童・生徒の清掃技術が向上しても、全国大会があるわけでもありません。

 

しかし、大学のように掃除は清掃員に外注するということにはなりません。

第一そんな予算はありません。年間5,250分=87時間で、学校内で20人のバイト(時給1,000円)を雇うとしたら…1,000円時給*約87時間*20人=約175万円かかります。

175万円あれば、臨時講師やALT、図書司書、SSS(スクール・サポート・スタッフ)などを雇うでしょう(それでも生活できるような年収ではありません)。

 

また、清掃活動に教育的意義があると判断されているのです。指導案や教科書、ICTツールなどもなく、体当たりで説明する必要があり、そこがまた厳しいところです。

 

清掃指導を整備し、新人研修にするといいのでは

ということで私たちが考えるべきは、「みなさんが無理なく、楽しく、児童や生徒に清掃方法を教え、児童・生徒が清掃するようになる」方法とは何かということです。

学校全体でこの方法を共有することで、無理なく、楽しく児童・生徒に”清掃”を教えることができるようになり、その過程で、新人教員が教える技術を習得するという新人研修にもなります。

 

掃除といえばダスキンダスキンでは「キレイのタネまき教室『おそうじについて学ぼう!』」というプログラムを行っているようですので、参考にしてみてください。

www.duskin.co.jp

 

ということで、清掃についての教員の仕事を少し説明しました。ぜひ「無理なく、楽しく」続けられる仕組みを作っていきましょう。そのお手伝いができれば幸いです。

 

それではおのおの、ぬかりなく。