いつになっても試行錯誤と学びの毎日

とある教育コーディネーターが学校でやってきた実践と失敗の数々

はじめての先生シリーズ〜部活動〜

学園祭という大きな学校行事がありまして、更新が止まっておりました。

下記の業務が先生が担う業務となります。

  1. 授業(教科会)

  2. 評価(試験)

  3. 校務分掌(委員会)

  4. 学年会

  5. 部活動

  6. 保護者対応

  7. 清掃

  8. 運営委員会、職員会議、その他委員会

  9. その他業務(入試、オープンスクールなど)

 

今回は、部活動について見ていきましょう。部活動については、まずは個人的な見解は抑えつつ、一般論で述べていきますね。

部活動

自分が高校生の頃、先生になりたいという友人に理由を尋ねると、「部活を持ちたい」というものでした。こうした先生の多くは、おそらく自分が経験した部活動を率いて良い成績を残したい、叶えられなかった夢を実現したい、というものでしょう。

学校によっては、自分が担当したい部活動がないという学校もありますので、もちろん希望を出すことはできますが、初任者の場合にその権限はほとんどありませんので、祈るしかありません。

部顧問

部活動を担当する際は、先生は、部活動顧問いわゆる「部顧問」と呼ばれます。

部顧問は、その部活動で児童・生徒を「指導する」役割と、引率やお金や備品を「管理する」役割の2つがあります。大きな部活動になると、副顧問がついて役割分担することもありますし、指導専属のコーチ、監督がつくことがあります。

先生が部顧問を務める場合、残念ながら、残業代はつくことはありません。残業と認めるものの中に、部活動は入っていないのです。

お金の話は上記9つの業務解説終了後に扱う予定ですが、教員は「給特法」によって時間外の扱いが非常に危うい状態で、部活動の指導で残った場合は、自主的な残業とみなされてしまいます。法治国家なので、どうしようもない状況です。

ただ、休日出勤手当は出ます。いくら働いても5,000円満たすことはありませんが…

 

また、残念ながら、部顧問については授業と異なり、他校にしか同じ立場の人がいません。孤独感はさらに増していくはずです。

 

地域指導者、外部指導者

部顧問によっては、自分が担当したことのない部活動の担当になる可能性があります。その際は、管理側に回るといいと思いますが、例えば「競技」によっては競技スキルを直接指導するために、地域や学校外にいる方を雇うということがあります。

これは、学校設置者=県教育委員会などが雇用することになります。権限によっては、顧問のように引率が可能な場合もあります。

 

部活動は、おおよそ16時から19時まで、最大でも3時間くらいです。仮に時給が1,000円だとして、日給3,000円、週に3日程度働くとしたら、1ヶ月でおおよそ4万円となります。もし、クラブとしたら参加者から月謝をいただくことができるので、一人○○円と設定したら参加者が多ければ多いほど給料が高くなりますが、学校の部活動の場合は、人数によらず規定の給料になります。

副業としてはいいかもしれませんが、生業としては成り立ちにくい金額だと思います。

 

はたして、、部活動はどうなるのだろう?

部活動は、教育課程外(≒放課後)の学校教育の一環という位置づけです。

(高等学校 学習指導要領 総則編)

https://www.mext.go.jp/content/20211102-mxt_kyoiku02-100002620_1.pdf

 

放課後とは、教育課程から放たれた後という意味で、簡単に言えばその日の授業の後の時間という意味です。これは単位認定に特に関係のない時間です。特に用事がなければ、児童・生徒たちは家に帰って構いません。その時間に、児童や生徒たちが自主的・自発的な参加によって部活動が行われます。

例えば、これが成人たちが集まるものだったら、特に部顧問がつくことはないでしょう。未成年の児童・生徒たち(正確に言えば、18歳は成年になるわけですが)が自主的・自発的に、学校の敷地に集まったとします。ここで、怪我をしたり事故にあったとしたら、どうでしょうか。

そうならないために、部顧問がいるという位置づけです。

 

ここでのポイントは、「自主的・自発的に」「教育課程外」だけど「学校教育の一環」という超矛盾しているところになります。

果たして先生がそこまでする必要はあるのか、というところです。

 

例えば部活動ではキラ星のような才能を発揮する児童・生徒もいるわけで、もし先生が部顧問として知らなければ、近年盛り上がっている総合型選抜や推薦入試などで候補に上がりにくいかもしれません。

ですが、これも地域指導者や外部指導者がきちんと見取ることができればいいじゃないかとも思います。その児童・生徒のことを先生に引き継ぐことで、児童・生徒の成長を複数の目で見ることができるじゃないかとも思いますが、果たして低い給与の中でそこまで十分にできるのか、ということも考えられます。

 

地域のクラブチーム化するということも考えられます。

ただ、その場合クラブチーム運営のために月謝を集金するようになるはずなので、部費が大幅に上がってしまい、家計が厳しいご家庭の場合は参加できないということになるかもしれません。家計によって教育の機会が奪われ、教育の格差が生じてしまう可能性も出てきます。

となると、地域のクラブチーム化をした時は、月謝以外の、異なるマネタイズの方法を考えなければなりません。ただ、ここまでできる地域指導者がいるでしょうか。なかなかビジネスマンとして優秀でなければうまく運営できず、資金繰りが滞る可能性が大半だと思います。

 

初任の先生には重たい話だったかと思いますが、大事なことは部活動の顧問や副顧問に就くということに無自覚で「ガッテン承知の助」という姿勢ではなく、自分はどのようなスタンスでいるべきかを考えるべきだと思うのです。

もちろん自分が力入れて担当したいのであれば、うまくタイムマネジメントして、自分の時間や家族の時間も折り合いをつけながら児童・生徒に向き合ってもいいと思います。そうでない場合、楽になる仕組みをうまく作り、地域指導者や外部指導者を見つけて、競技技術だけではなく、別の手法で競技力が高まる工夫を考えても良いでしょう。

 

この辺は、とにかくまず「孤独感をなくすこと」から始めましょう。愚痴を吐き出したい時は、愚痴ってください。ご用命あれば、いっしょにマネタイズの方法を考えたり、どうしたら楽になるかもいっしょに考えます。

いつでもおっしゃってくださいね。

それではおのおの、ぬかりなく。