いつになっても試行錯誤と学びの毎日

とある教育コーディネーターが学校でやってきた実践と失敗の数々

総合的な探究の時間の教材(学校の統廃合問題)のご紹介

総合的な探究の時間では、現代社会(の課題など)をテーマに、AかBかという究極の選択について、自分はどう考えるか、それは他者とどのような点が同じで違うのかということを体験してもらい、相対的な自信の立ち位置を理解してもらう、ということを意識しました。

その意味で、ジレンマが生じうる現代社会の問題は、教材になるのですが、情報が非対称である=偏りがあることが多いため、教材制作者の側で情報を補完する必要があります。その作業は、理性と感情の補完をする作業であり、生徒の側も自然とできるように、ワークシートを作って行きます。

 

さて、今回は学校の統廃合問題を取り上げました。教育をテーマにしようと思ったのですが、当事者である生徒に、教育の理想像を語ったり、教員の働き方などを扱うのではなく、町との関係性という意味で、学校の統廃合にスポットを当てました。

 

ということで、今日のラインナップはこちら。

 

 

ラーニングデザインのポイント①:新聞の読み込み

前述の通り、現実社会の問題、しかも今回は江津高校と江津工業高校の統廃合について取り上げました。昨年度まで自分の進路選択の一つになっていたであろう高校同士が統廃合になるということで、より自分ごとになるだろうと考えました。

津高校と江津工業高校の統廃合の記事は、実は複数ありましたが、これまでの変遷や取り組みが書かれていたものを選択しました。

 

新聞には、学校存続のために必要な運転資金や人件費がいくら必要なのかが明確になかったのは残念ですが、いろんなデータや資料を参考に「数字」を提示しました。

あ、もちろん今回の事例ではないですし、高校運営にかかるお金の話ではないですよ。

ある論文の中に「各学校が毎年どのくらいお金を使っているのかは開示されていないのは今後の課題である」とありましたが、なかなか難しい気がします。

公立なので事務方にデータは揃っていると思いますが、私費会計は別扱いなので、正確なデータは取りにくいなと思いました。

本当はきっちりと取っておくべきなんですが、各学校で開示してしまうと学校ごとに攻撃される結果になるだろうと思いますのでね…

 

ラーニングデザインのポイント②:賛成・反対どちらも考える

もう一つは、賛成・反対どちらの意見も考えるという点です。

自分の意思と異なる逆の立場の意見も考えるということで、ディスカッションである「反駁」を考えるということになります。

相手の立場を考えろ、というのではなく、具体的に「賛成の意見も、反対の意見も考える」としました。

 

前述の通り、ジレンマがある状態で、どっちつかずな意見ではなく、Aである!もしくはBである!と公言する状態を作ることで、自分の価値観に触れるという状態を作り出そうと考えました。

もちろん現実には二兎追って二兎追えるような施策を考えるべきですし、そうならないためにどうすべきかを考えるのですが、個人の思考の偏りを意識し、自分と対話できるようにと考えていきたいと思いました。

 

少し反省した部分

少し「学校の統廃合をしてもよい」と考える側に寄りすぎたなと思います。

お金がかかるんだという面を示しすぎた気がします。

学校統廃合という点で言えば、

①経営:費用(税金)

②教学:教育効果

③影響:地域、感情

の3点を、メリット・デメリットの両面で考えなければならなかったなと思います。

 

とは言え、新聞記事やネットニュースでは、③影響の面だけを取り上げる傾向にあるので、将来同じように学校の統廃合の話が出た時には、感情論だけではなく、冷静に考えようという姿勢になれば良いと思います。

特に、こういう議論の場合は当事者意識がないことが多く、今は「別に…」と思うこともある生徒が多いかもしれません。

感情の面と理性の面の2つで物事を捉え、コミュニティに属する人間としてどのような判断をするのか、それを是とするために、どのような行動をとるべきかを考えなければ、社会は前に進んでいきません。

嬉しいか嬉しくないかの2つで判断しがちな生徒たちですが、シビアに現実社会のニュースを捉えてもらえるといいなと思います。

 

ダウンロードコンテンツ:学校の統廃合問題

さて、ワークシートはこちらです。新聞記事は省いていますが、調べたら出てきます。A市だとかA高校とかその辺は新聞記事に合わせて修正してください。

drive.google.com

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ということでおのおのぬかりなく。