いつになっても試行錯誤と学びの毎日

とある教育コーディネーターが学校でやってきた実践と失敗の数々

総合的な探究の時間の教材(まちづくり)のご紹介

高校の総合的な探究の時間で使用できる「まちづくり」を体感できるワークシートを開発しました。

ワークシートにも書きましたが、名作ゲーム「SimCity」の要領で、町を考えます。

SimCityは土地だけ与えられて、ゼロから町を作りますが、現実社会では町をゼロから作ることはないので、すでにある程度町が成熟しているところからのスタートになります。ある意味、「市町村合併」をした時の町をどう設計するかに近いかもしれません。

高校の総合的な探究の時間を想定しましたが、中学校や小学校でも実施できるだろうと思います。

こちらがワークシートです↓

 

ということで、今日のラインナップはこちら。

ラーニングデザインのポイント:シミュレーションする

ラーニングデザインとしては、「シミュレーション」を重視したデザインにしています。ある町の地図情報を読み解くことからスタートし、ここに住む人たちはどのような生活を送っているんだろう?と想像することで生活の利便性とは何かを考えてもらいたいと思いました。生活の利便性を考えるということは、裏を返すと、生活の不便さ、お困りごとを考えるということです。

 

それを解決する時に、町長だったらどうするのか。町長ではなく、自分だったらどうするのか。こんなことを考えてほしいと思い、デザインしました。

 

お題としては、

あなたは、7,000人の町の町長です。町の7割森林、残り1割田んぼや畑という町で、高齢化率50%、子供の数も年々減少しています。町の基幹産業は農業です。町長として「誰にとっても住みやすい町」にしなければなりませんあなたは町長としてどのような町にし、町民の幸福追求を図りますか?地図に、建物等を書いていきましょう。

というものにしました。

ただ、無尽蔵に建物を建てることができるというわけではなく、

町長として作るべき建物(最低限の条件)

・役場、病院・警察・消防・郵便は、必ず1マスずつ設置すること(各100ポイント)

・学校は1マス設置してもよい(1マス使用可、100ポイント)

・高齢者福祉施設は2つまで設置してもよい(各施設1マス使用可、100ポイント)

・「○○な町」など、スローガンを決めること

・7,000ポイント保有しており、建物を建てるためにポイントを支払います。

これらの条件をつけています。

また、裏面には、さまざまな施設を作るために必要なポイントや、土地の改良のために必要なポイントをまとめました。

税金(ポイント)をどこに使うか、発生しているジレンマをどうやって解決するかを考えることで、現実社会に横たわるさまざまな課題に目を向けてもらいたいと思いました。

SimCityを選んだ理由

SimCityをモチーフにしたのは、何よりも「まちづくりが楽しく身近なもの」にしたかったからです。

ゲームのSimCityをプレイすると、シミュレーションのプログラミングが動き、街が変化して行く様がわかります。何をすればどうなり、その結果何が生じるのかという因果関係を理解できるようになっています。

例えば、生徒の中には、川のそばに工場を建てた生徒がいましたが、「環境汚染は?影響はないの?」と聞くと、「あ…」と時間を置いた後、「いや、クリーンエネルギーなんです」とプレゼンしてくれました。

ワークシートには工場とだけあり、その中身については触れていませんが、こうしたツッコミを入れることで、工場の中身について考えるきっかけになったかもしれません。

ゲームでは工場を建てると、環境汚染がひどくなるという関係しかありませんが、テーブルトークRPGのように、生身の人間がそばにいると、制約をある意味で飛び越えていけるそこが、ゲーム以上のインタラクティブ性がある授業なのだと感じました。

 

実際、SimCityを使って、町を再現した授業というのも考えました。

宮崎県のある自治体の役所では、近くの高校と連携し、シムシティ課を作って、高校生にまちづくりに参画させるところもあるようです。これはいいですね。

www.famitsu.com

(お金に余裕があれば、ChromebookWebブラウザで動くSimCityのようなゲームを作りたいものです。)

 

理想の町を考える時に、SimCityを使ったり、あるいはレゴを使ったりと、イメージしやすいい具体的なツールを使うことで、足りない部分を想像力で補ってもらい、現実社会の町に目を向けるということがしやすいと思います。

 

進路を考えるために…町の未来と自分の未来を重ねて考える

「まちづくり」の授業のために作ったものですが、本当は自分のキャリアを考えるための導入の授業なのです。

この授業の後は、教育をテーマにしたものや食と農をテーマにしたもの、福祉をテーマにしたものなど、1授業完結であり、まちづくりに関連する授業を行う予定です。

そうした、ジレンマを抱えた現実社会の諸問題を扱ったのちに、もう一度まちづくりのワークをしたら、どんな変化があるでしょうか?

あるいは、そんな町での自分のキャリアをどう考えるでしょうか?

これが、一連(7時間程度)の授業の構成になっています。

7時間後は、どのような変化があるでしょうか?あるいは、そういった諸課題がある中で、自分はどのような取り組みをしたいと思うようになったでしょうか?

これらを確かめたいと思います。

 

ダウンロードコンテンツSimTown〜机の上で町づくりシミュレーション〜

ワークシートはこちらです。ぜひ一読してみてください。そして、感想や改良ポイントをぜひ教えてください。

drive.google.com

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ということで、おのおの抜かりなく。