いつになっても試行錯誤と学びの毎日

とある教育コーディネーターが学校でやってきた実践と失敗の数々

センセイのお仕事

ナースのお仕事」というドラマが流行った時代を生きていた人間です。

先生の働き方改革についての記事を書いておりましたが、そもそも先生のお仕事とはどのようなものがあるのかをご紹介しようと思います。

あくまでもコーディネーターの視点かつ、島根県のみと考えていただければ幸いです。

 

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教員業務(異論は認める)

 

先生の仕事は、その役職によって様々ありますが、基本「授業」があります。これが1時間目から6時間目や7時間目まであります。と言っても、毎日6時間、7時間授業があるわけではありません(なお、小学校の場合は、教科担当制度ではないので、毎日6時間、全ての教科の授業を実施することになります。小学校の先生がいかにすごい(キツイ)か、お分かりでしょうか)。

 

学校は年間35週あり、1単位というのが35コマの授業=週に1時間を意味します。2単位であれば、週に2時間です。

仮に1単位だとしても、1コマで終わりという先生はほとんどいません。

例えば英語の授業は、3学年ありますし、学科が異なればその倍必要です。また単純に英語と言っても、英会話、文法や長文の授業と細かく分かれています。平均すると、毎日3時間程度授業があると考えていただければいいかなと思います。

 

なお、1時間の授業を準備するには、少なくてもその倍の時間の準備(教材研究)が必要ですが、その教材研究の時間が労働時間に入るのかということで裁判があったのをご存知の方もいるかもしれません(興味がある人は、埼玉県の教員超勤訴訟についてご覧ください)。

 

授業以外で言えば、担任か学年主任か、学年付きの教員と分かれていきます。

担任の先生は受け持った学級の担当を担います。保護者対応も発生することがありますね。場合によっては、学年主任や他担任と協力して、物事にあたることがありますので密な情報共有は欠かせません。

 

さらに、分掌と呼ばれる校務があります。たとえ担任であっても、学年主任であっても分掌業務があります。イメージしやすいのは「生徒指導部」や「進路指導部」などでしょうか。公立の学校は、先生がいろんな学校に異動するので、ほとんどの学校で同じような分掌があります。

 

そこに加えて、部活動の指導が入りますし、寄宿舎がある学校は、寄宿舎の舎監業務が発生します。また、教育委員会等の指示によって、学校の業務が制限や急遽の委員会などが発生することがあります。

 

余談ですが、首相によって、休校要請が出たとき、おそらく一般の方の多くが「休校になるんだ」と思われたことと思います。ところが、学校は教育委員会の指示によって休校等の措置を実行しますので、実はニュースで「休校要請が出た」時に、保護者や地域から休校するのかといったお電話をたくさん頂戴しましたが、「わかりません」の一点のみなのです。

これは教育の政治的中立性によるもので、いくら首相といえども教育機関に対して指示を与えることはできません。なお、47都道府県のうち、島根県だけが休校にしませんでしたね。

 

先生は、これらの業務を一日8時間という労働時間の中で、こなしていく必要があります。

 

さて、前回のブログに書いたように、学校という事業で成果を出し続けるためには6つの経営資源を投入しなければなりません。

(前回のブログはこちらから)

someunsungone.hatenablog.com

 

民間企業であれば、校務分掌自体が部門となって、効率化を図るだけでなく、業務の規模によって適正な業務量になるはずです。ところが、上記に表示した先生のお仕事は、基本的にはどの学校でも発生します。

 

先生10人の学校でも、先生50人の学校でも、学習指導要領に書かれてある教科の内容を伝え、習得してもらう必要があります。どの学校もこの枠を超えることは基本的にできません。

 

なので、小規模学校であれば、上記を「兼務」する先生がほとんどです。

兼務することで、2人必要な業務を1人が頑張ればなんとかなる、というわけです。民間企業であれば、残業が発生した場合は残業代を支払う義務がありますが、公立の先生には残業代がほとんどないと思っていただいて結構です(前述の埼玉県の裁判内容をご覧いただいたらわかると思います)。

 

そこに加え、機械を相手にする仕事ではありません。日々児童・生徒は様々な心の葛藤をしながら成長していきます。そんな人間を相手に、”昨年通り”にはいかないこともあります。だからこそ面白いのですが、時として全ての業務以上に、最優先・最重要な業務も発生していきます。

 

今回は、先生のお仕事を現場のレベルから説明させてもらいました。

「まだまだ」という見方もあるでしょうし、「こんなに?」という見方もあると思います。どのような見方でも構いません。

もし先生と関わるチャンスがあったときには、「授業だけでなく、いろんなお仕事をしているんだな」と思ってもらえるだけで、学校の先生は「見てくれている人がいるんだな」と勇気が湧いてくるのではないかなと思います。

 

ということで今日はここまで。

最後にこの記事を書いている時に、私が好きな「LIVE A LIVE」がリマスターされることを知ったので、その作品に出てくる言葉で締めくくりたいと思います。

 

無理を通してみせるッ!!

 

そんな先生が今日も子供たちのために戦っています。

それではおのおの、ぬかりなく。