いつになっても試行錯誤と学びの毎日

とある教育コーディネーターが学校でやってきた実践と失敗の数々

休暇中の非常事態での教員の対応に関する提言

この度の地震において、被害を受けられた方々に心よりお見舞い申し上げます。

 

通常時もそうですが、休暇中ということもあり、被災地での学校の先生の役割について考えました。

こういう事態に起きた時、学校的にはどうなるのかというと、

①管理職や危機管理委員会の先生方が集合し、対応を相談する(危機対策委員会)

②相談の結果、担任などに伝達され、緊急職員会議が開かれる

③担任や学年会から、児童・生徒の安否確認をする

④(場合によっては)避難所の開設、運営を行う

という流れになります(ざっくりですが)。

 

①は簡単に書いてますが、学校が家の近ろうと遠かろうと、です。

大きな都市の場合、学区外にお住まいの方もいるでしょうが、田舎の場合、自動車2時間はザラに発生します。もちろん自分のお家や地域が被災した場合はこの限りではないと思いますが、そうでない場合は学校に向かう可能性があります。

 

②緊急職員会議が開かれる場合は、なかなかしんどい事態です。

①同様、先生自身のお家や地域が被災した場合は学校に行くことができませんが、その場合、③の安否確認を学年会のメンバーが対応する必要があります。

まず児童・生徒がどこに住んでいて、被災の可能性があるのかないのかをまとめなければなりません(①の危機対策委員会でも必要な情報です)。

その後、誰が保護者に連絡するかを決め、固定電話で電話をかけます。

固定電話回線は何十本も引いていませんので、すぐにパンクします。すぐに保護者に通じればいいですが、不在の場合折り返し電話を待つ、時間をおいて電話をする必要があります。

 

④避難所は学校が管理するところではないかもしれませんが、いわゆる公務員として行動しなければならないかもしれません。毛布の数、食料の配給、体調不良者の対応などの管理が必要かもしれません。

 

ICTの力を借りよう!

ICTの力を借りることで楽に、そして安全に運用できる箇所がいくつもありますよね。仮に児童・生徒が旅行に行き、その旅行先で被災するということも考えられます。もちろん児童・生徒は旅行先情報を教員に伝える必要はありませんので、教員は被災しているかどうか知る由もありません。電話をかけることができないかもしれません。

ICTの出番です。

 

①危機対策委員会を開き、②の緊急職員会議を開くべきかどうかを判断する時の「情報」が瞬時にアクセスできなければなりません。

当然児童・生徒情報は、学校の端末に保存・保管されていますので、先生は学校に行かなければなりませんが、被災しているかどうかという一次的な情報については、LINEなどのメッセージアプリで瞬時に共有するということでもいいのではないかと思います。

それは同時に、安否確認にも等しい内容ですので、教員の負担は激減するはずです。

もちろん、安否確認には「音声」が一番ということもわかります。

コロナ禍で電話確認をする、家庭訪問をして、本当に家にいるのかを確認するということもありましたから。ただ、それは後でも構わないと思います。安否確認のメッセージを送って、30分連絡がない場合は電話するなどのルールを決めておいてもいいと思います。

 

学校専用アプリの開発を!

個人的にはメッセージアプリではなく、学校専用のアプリが良いでしょう。

もちろん、被災時の危機対策のためならメッセージアプリでもいいのでしょうが、卒業したら個人情報の削除をしなければならなかったり、Flashが無くなったように使ったアプリが無くなった場合、対応ができなくなります。

 

緊急時は安否確認が画面中央に表示され、問題があるか、被災したかどうかをまず確認します。被災した場合は、場所や体調、緊急性を確かめます。

もちろん、被災地がその地域ではない場合もありますので、「≡」印をプッシュすることで、安否確認をいつでもできるようにするとよいでしょう。

 

緊急時の対応の情報があった方がよいと思います。

Newsや天気の情報サイトの案内や、「東京防災」などのわかりやすい防災行動を伝えることも大事かもしれません。

また、こうした「真面目な」アプリの場合、使ってもらうことが何よりも重要なので、「推し」を設定することで、使いやすい、触りやすいものにしてもいいかもしれません。推しからの「がんばれ!」動画を見たり、音声が聞こえることが、生きる勇気や元気を生み出すことにつながるかもしれません。

 

普段使いとしては、学校からのお知らせ、たとえば時間割の情報や試験の情報が載っているページに飛んだり、クラス専用のチャットが使えると担任の先生からのメッセージ(たとえばクラス対抗戦などの後とか)が送られたり、励まし合うこともできるかもしれません。

あとは、部活動などのお知らせで、練習情報や公式戦、遠征などの案内があると良いかなと思いました。部費や遠征費などの申請がここでできると、請求書を発行しなくても良いということがあります。

 

そういったことのモックアップは次のとおりです。


いや、誰が作るんだ、ということですが、イメージがあれば実現に一歩近づくはずです。今はノーコードで作ることもできますので、試しに作ってもいいかなと。(時間があれば…)

 

何が言いたいかというと、これまで教員がわざわざ学校に来てやらないといけないことを最小限にして、特に緊急事態の場合、教員自体も緊急事態なわけで、電話をかけたり、電話をとることができない可能性があるということです。さらに、個人情報を扱うことになるので、その意味でもICTを活用して、一次的な情報=安否だけでも確認をすれば安心できるのではないかと思います。

情報システムにお金を使うことで、これまで時間をかけていた部分が圧縮され、その分教材研究に時間をかけたり、児童・生徒に向き合う時間が増えるようになります。

まずは、休暇中の非常事態での教員の対応を、ICTツール、システムの導入によって解決してみませんか、という提言でした。

それではおのおの、ぬかりなく。