いつになっても試行錯誤と学びの毎日

とある教育コーディネーターが学校でやってきた実践と失敗の数々

はじめての先生シリーズ〜校務分掌(委員会)〜

引き続き、初めて先生になった時に押さえておくべき、先生の仕事というものについて見ていきたいと思います。

(先般あった、埼玉県の公立小学校の男性教員が、県に未払い賃金を求めた訴訟の判決については別枠で扱おうと思います)

  1. 授業(教科会)

  2. 評価(試験)

  3. 校務分掌(委員会)

  4. 学年会

  5. 部活動

  6. 保護者対応

  7. 清掃

  8. 運営委員会、職員会議、その他委員会

  9. その他業務(入試、オープンスクールなど)

 

今回は、3.校務分掌(委員会)について見ていきましょう。

校務分掌(委員会)

校務分掌は、学校の業務を分担されるものです。

例えば「生徒指導部」や「進路指導部」は聞いたことがあるでしょう。

「○○部」というものです。

学校はもちろん授業のみの場ではありません。

入学式から始まり、体育祭や文化祭などの学校行事。

これを運営するために、分掌というものが必要になります。

どのような分掌があるの?

どの学校も、まぁ、似たような分掌があります。

それは、人事異動文化によるものが多いでしょうが、A学校にしかない分掌で経験した人が、B学校に異動すると、全く業務内容が異なり戸惑うということが起きるから、だと思います。

おおよそ、次のような分掌(および業務)があります。

・総務部:入学式や始業式、年間行事の取りまとめ

・教務部:児童・生徒の成績、評価、授業の編成(時間割)、教育課程取りまとめ

・教育研究部(教育開発部):教員研修、視察、公開授業、新課程研究

・生徒指導部:生徒会、運動会や文化祭企画、いじめ等案件対応、人権教育

・進路指導部:模擬試験、進路系学校行事企画、志望校研究、模擬試験研究

・保健部:健康診断、食育、学校医・歯科医・薬剤師連携

・事務部(ここは先生が入ることはほとんどない分掌です):予算執行、施設管理

*あくまでも関わったことのある学校でとりわけられていた業務を列挙しています

 

初めて先生になる時には、希望を言う機会がありますが、皆さんの意向というよりも、配属される学校に不足している分掌に配属されることがほとんどです。

分掌には、分掌長という「部長」「課長」的な先生が配置されます。

本来的には、分掌長は分掌業務をマネジメントするのですが、民間と異なり、分掌長になるための壁は、もちろん試験を受けるのですが、ほとんどが”年齢”です。よっぽど優秀(例えば修士号など)でなければ、推薦されることはないでしょう。

校務分掌と授業

この校務分掌が非常に厄介で、なければならない業務ではあるのですが、一方で授業や授業準備もしなければなりません。

先生方は非常に真面目で、貢献意識が強い方が多いため、「校務分掌>授業準備」という優先度になることがあります。なぜなら、授業準備は一人でもできることで、よくありませんが、家に帰ってサービス残業するという人もめずらしくありません。

この辺は、先生の業務改善の余地があります。先生はマルチタスク過ぎるのです。

そこまで学校ごとにも業務が変わらないのであれば、AIが入ることができるのにな、と思う日々です。

校務分掌にも入らないその他諸々

ただ、これで終わりではありません。

校務分掌に入らない細かく、また非日常的ではない業務も発生します。

一人ではなく、多くの人が必要な業務の場合、「委員会」を組織する場合があります。

 

例えば「留学」です。

留学が日常的に行われている学校であればいいのですが、2年に一度や5年に一度の場合、留学したいという生徒がいたり、逆に海外から留学したいという児童生徒がいると、送り出しや受け入れのために規約規定を定めるという短期的なプロジェクトが必要ですね。

こういう時に備えた、「留学委員会」が組織されている学校もあるかもしれません。

この「委員会」も、どこかの分掌の下に着くことがあり、自分の配属された学校にはどのような分掌があり、どのような委員会が組織されているのかを確認しておくことが重要です。

 

先生の働き方改革がなかなか進まないのは、資源が不足しており、仕組みもカバーできていないことが原因の一つです。

仕組みがカバーできていないのも、各学校で自由に組織改革を行うということもしにくい(後任が困るから)という事態もあります。

 

これから初めて先生になる人が困らないよう、また超絶マルチタスクが求められる先生たちが困って孤立しないように、どうしたら良いか、何をしたらいいかを考え、発信していこうと思います。

 

それでは、おのおのぬかりなく。