いつになっても試行錯誤と学びの毎日

とある教育コーディネーターが学校でやってきた実践と失敗の数々

【授業作り大解剖!】授業をすることになったら…(中編)

随分と空いてしまいました。卒業式シーズンのためバタバタしておりました。

someunsungone.hatenablog.com

こちらの続きとなります。まだの方は前編をご覧ください。

 

では、授業を作っていきましょう。

と言ってもなかなかイメージしにくいと思いますので、テーマを設けます。

テーマは、「主権者教育」としましょう(実は今度授業を作ることになりました)。主権者教育って何?という方もいると思いますので、文部科学省のページをみてみましょう。

www.mext.go.jp

この最終報告の「はじめに」では、

これからの社会を担う子供たちに、主体的に国家及び社会の形成に参画するために必要な資質・能力の育成に向けて、政治的教養に関する教育の充実を含めた取組を推進することが一層重要となっている。

と書いてありました。

つまり、主権者教育とは、「主体的に国家及び社会の形成に参画するために必要な資質・能力」を育成するための教育のことです。これが、目的になります。

なお、同最終報告の7ページには、

主権者教育の目的を「単に政治の仕組みについて必要な知識を習得させるにとどまらず、社会を生き抜く力や地域の課題解決を社会の構成員の一人として主体的に担うことができる力を身に付けさせること」

とあります。その結果、

投票率」の みならず、その質-「投票質」-の向上・深まりにもつながっていく

という結果を期待するということらしいです。

今は、投票率の低さが目立ちますが、投票質・・・つまり思考停止で投票するということではなく、考えて投票した結果までこだわりたいということです。

果たしてどのようにその質を測るのかはわかりかねますが、日本は間接民主主義なので、より良い社会を作るための行動として投票をするという行動が真っ先に上がるのは当然でしょうね。

主体的に国家及び社会の形成に参画するために必要な資質・能力*1

ここが本丸なのですが、今回はざっくりと「投票率」および「投票質」を高めるための資質・能力を育成するための授業を考えてみましょう。

 

長くなりましたが、通常、授業作りを頼まれたら、学習指導要領か、もしくは文部科学省のサイトで調べて、定義やねらいを確実なものにしてから教材作りに入ります。

 

「投票質」もそうですが、以前生徒から「何を考えていいかわかんない」という言葉を聞きました。生徒は18歳になったら、選挙管理委員会から突然「今度選挙があるよー」と投票案内状をもらうことになります。

そして、何人かの候補者の中から一人(もしくは無効票)を決めなければなりません。これまでの人生=18年間の中で、誰にも思考・判断のサポートを受けず、情報を集め、思考し、判断基準を作り、判断するということをゼロからヒャクまで一人でやらなければならないのです。18歳になったばかりの生徒にとって、相当脳みそに負担がかかり、「もう知ーらない!」となるのは想像に難くないでしょう。

教育の世界では、教師が児童・生徒の人間性に影響を与えるため、政治的中立性を保つため、どこまで教師が児童・生徒の思考や判断を補助するのか、その線引きは困難を極めます。

 

・・・というのが生徒観です。

 

ということで、本当は年間通じての実施や他の教科や学校行事なども全て総動員するのですが、今回は単発の授業2、3回ということで、最も重視したいポイントを、

・自分の判断基準を作るということ

・判断基準に基づいて情報収集をしようとする姿勢を養うこと

にしようと思います。

 

授業がほかの時間と異なるのは、主体性の有無にかかわらず、体験できるところです。といっても、主体的にならないと身に付きにくいのも事実です。

そこで、「判断基準を作る」という点でいえば、「テレビゲーム総選挙」に参加するとしたらどんなゲームを挙げるかという点を導入としました。

人によってRPGやアクション、ノベル、FPSと様々な思いで投票をするはずです。

選挙に限らず日々私たちは何かを考え、判断し、行動しているわけで、それをあらわにしようと考えました。

そのうえで、選挙においては判断材料や判断基準が多く、嫌煙されがち。

 

そんな彼ら彼女らが、社会人になって選挙に臨むことを考えたときに、大事なことは、社会人になったときと同じ状況を作ることだなと思いました。

ここでは明言を避けますが、実際に選挙の時に使えるWebサイトを紹介し、使ってもらうことにしました。そうすることで、実際に選挙の時に、同じように操作し、思い出してくれると思ったからです。

 

長くなってきたので、そろそろ中編を終えますが、ここでは教材を作るプロセスを解剖しておりますが、実際は複雑で一つアイディアを出して、それがねらいに合致しているかを確かめたり、2年前に作ったときの教材を引っ張り出し、それが時代に即しているかを確認したりと教材研究には時間がかかります。

以前教員の忙しさを題材にしましたが、時間をかけて教材研究をするわけにもいかないのも事実です。そのために教員の働き方改革が必要なのです。

少しでも教員の皆さんが楽に、楽しく仕事ができる環境を作れるように、日々試行錯誤しています。

では、おのおのぬかりなく。

*1:説明してもいいのですが、説明すると結局なんなの?となるはずなので、別の回で