いつになっても試行錯誤と学びの毎日

とある教育コーディネーターが学校でやってきた実践と失敗の数々

SNSリテラシーを高めるための授業教材

SNSリテラシーを高めるための授業教材を作りました。

きっかけは、6月に法改正された、侮辱罪改正刑法が成立したことです。

18歳成人年齢引き下げにもなりますが、もしかしたら生徒たちが対象になるかもしれないと思ったからです。

授業教材はこちら

01_SNS特別授業(WS)_普及版.pdf - Google ドライブ

02_SNS特別授業(スライド)_普及版.pdf - Google ドライブ

 

開発で気づいたこと 「SNSってなんでSNSっていうんだろう?」

よくよく自分も調べてみると、「SNS」という言葉そのものが本質を突いているような気がしました。つまり、なぜ「Social」で、「Internet」ではないのかという点です。

Internetに限ったことではないということです。

僕もそうですが、昭和最後の世代は、携帯電話が普及し始めの時期で、通常対面であった人=リアルであった人しか関係性にありませんでした。

中学、高校くらいで携帯電話を持つことができるようになり、それでもまだSNSは生まれていません。かろうじてmixiくらいですかね。パソコンも触っていたので、Facebookも使っていました。その後、スマートフォンが生まれたことで「動画」を共有できるようになり、一気に普及しました。

僕ら世代がSNSを使う時は、①リアルで人間関係を築く②その後、SNSでもつながるというやりとりがありましたが、今は、①SNS上で友人になる②その後リアルで出会うという形の人間関係作りもレアケースではありません。

だからこそ、Social=社会性のネットワーキングサービスなんだなと思いました。SNSはネット上のみのことではなく、リアルな友達のことに言えることなのです。

 

開発で気づいたこと 「絶対正義」の恐ろしさ

ところが、事件は起きてしまいます。

なぜでしょうか?

それは、「絶対正義」があるからです。

僕らもよく生徒に「困っている人がいたら助けよう」と言っています。

それが絶対正義を産んでしまうのですね。

「困っている人がいる。助けなければいけない。犯人は懲らしめなければ、被害者がかわいそう。それなら正義の鉄槌を私たちが下すのだ」

このような心理が働き、本人たちは困っている人たちをほっとくことができず、エスカレーションしてしまうのです。

ところがそれが罪になる可能性があるということを、「知識」として覚えておく必要があります。

思考力・判断力・表現力や人間性に頼ってしまうと、「困っている人を助けるため」という論理から、ついやり過ぎた正義をおこなってしまうのだということを知識=理性で抑え込む必要があるんだなと思いました。

 

開発で気をつけたこと

常に「エンディング」で迷います。

SNSは危険だから触らないで!」としてしまいがちです。

たしかに、使い方を誤ると危険なものでもあります。

ですが、使い方に気をつけると、リアルでは生まれなかった関係性が生まれ、例えば仕事が増えるということもあり得ます。一般人が、一気に有名人になる可能性も秘めています。

生徒に考えさせると、「〜〜しない」「〜〜に気をつける」という言葉で終わりそうだなと思ったので、それでは「NG」だと言っているようなものだと思いました。

なので、規制ではなく、ポジティブな使い方を考えてもらうように気をつけました。

PBS(Positive Behavior Support)の考えを重視し、「こんなふうに使ったらダサい!だから、こんなふうに使おう!」ということを考えてもらうワークを入れ、またそれを投稿(Googleフォームなどで)することで、学校のソーシャルメディアポリシーにもなるだろうなと思いました。

ただ、なんかポリシーというのも規制っぽいイメージがあるので、「武士道」のようなものの方がいいかなと思い、「SNS道」としています。

カッコ悪いですけどね…

 

 

これまではどちらかというと、危険性をどわーーーっと伝えて、ほら怖いでしょ、気をつけましょうね、で終わる授業が多かったのかなと思います。

それでは、せっかく他者とつながる装置がうまく機能しません。

むしろ、どううまく、カッコよく使うのかを考えてもらう方が、これから先重要かなと思いました。

 

と、いうことでSNSリテラシーを高めるための授業教材をちょこっとシェアしました。

それでは、おのおのぬかりなく。